広告大手、電通の東京本社(東京都港区)が、労働基準法と労働安全衛生法に違反したとして三田労働基準監督署(東京)から今年9月に是正勧告を受けていたとの報道を受け、電通の新入社員だった2015年末に過労自殺した高橋まつりさん(当時24)の母、幸美さんがコメントを出した。全文は次の通り。
電通への是正勧告に関する報道について
電通は3年前、娘、高橋まつりの過労自殺の責任は会社にあると認めました。さらに労基法違反の有罪判決をうけ社長は謝罪し、電通のホームページにも掲載しているとおり、労働環境改革に努めると約束し宣言しています。毎年12月には、私は改善の進捗(しんちょく)状況の報告を受けております。
今回の労基署からの是正勧告が明るみになったことは大変な衝撃を受けました。
このような複数の36(サブロク)協定違反や過労死ラインをはるかに超える時間外労働を社員が行っていたことに対して大変な怒りと落胆を感じています。
しかし是正勧告の内容については、私は以前から電通の社風や長時間労働は根深いものがあり一朝一夕には変わらないと予想していたので、驚きはありません。
電通は20年以上前の過労死からの反省からも全く変わっていなかった、娘が亡くなった当時のずさんな労務管理や長時間労働は今も無くなっていないと証明されたという事です。
電通の労働環境改革はトップの制度改革だけではなく、全ての社員が危機感を持って労働環境の改革に取り組むべきです。電通の労働組合も本気で取り組んで欲しいと思います。
労基署は引き続き監視を続けてもらいたいと思います。国には労基署の是正勧告が企業には有効に機能していない事を認識して欲しいです。
今後、労基法違反や過労死に対する罰則強化の検討を要望します。
2019年12月5日
高橋幸美
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル